平安〜鎌倉期の史料

 

◆ 台  記
保元の乱で敗死した悪左府こと藤原頼長の日記。猟奇的かつ男色の世界。えぐいです。

 

◆ 玉  葉
治承寿永の乱を語る際の、京都側の第一級史料。皮肉屋の摂政・九条兼実の日記です。しょっちゅう「脚気だ」「脚気だ」と騒いでます。白米とか贅沢しとらんで毛米食っとけ。

 

◆ 吉  記
大納言・吉田経房の日記。欠巻が多いですが、玉葉にない記事もあり、平家物語がこの日記に依拠していると思われる点も多々あるので、必読ですね。

 

◆ 山 槐 記
内大臣・中山忠親の日記。これも『玉葉』とあわせ読むのに必須。

 

◆ 明 月 記
歌人として有名な藤原定家の日記。本音いっぱいで、定家の人間くささが(・∀・)イイ!! 感じです。

 

◆ 吾 妻 鏡
1180年、源頼朝が以仁王の令旨をいただき挙兵するあたりから始まる鎌倉幕府の公式編纂書。日記とは違い後日の編纂物なので日にちの錯綜などもあって全面的に信用するわけにはいきませんが、ヘタな歴史小説を読むよりも面白いことうけあいです。鎌倉幕府を語る上でのバイブルですね。源頼朝の艶聞や歯痛なども克明に記されており、頼朝もまさかそれが後世に伝わるとは思っていなかったことでしょう。
源頼家に関しては手厳しい記述が多いですが、頼家を排斥しようとした北条氏周辺による編纂書なので、その点は割り引いて読む必要があるようです。

 

◆ 愚 管 抄
九条兼実の兄・慈円が、承久の乱直前に後鳥羽上皇に進言するために書いた歴史書。「〜てへれば〜てへれば(と言ったので)」ばかりで文章の切れ目がなく、かなり読みにくいですが、それは口述筆記だからという説があります。

 

◆ 左  記
義経擁護者のひとり、守覚法親王の著。「義経を密かに招き合戦を記す」という記述から、平家物語の合戦譚は守覚法親王の近辺で作成されたのではないかという考察もあります。

 

◆ 梁 塵 秘 抄
後白河法皇による今様歌謡集。ありふれた表現ですが、今でいえば「カラオケ集」みたいなものですね。源義家を語る時に有名な「八幡太郎は恐ろしや」という唄もここに載ってます。喉をつぶすほど朝から晩まで歌いつづけていたというのだから、まあ破天荒な天皇もいたものです。

 

◆ 金槐和歌集
非業の将軍・源実朝の歌集。長雨が続くと、この中の「時により過ぐれば民の嘆きなり 八大竜王雨やめたまへ」を思い出します。ちなみに、鶴岡八幡宮のおみくじに書かれているのは実朝の歌。

 

◆ 新古今和歌集
後鳥羽院の命を受けた藤原定家ら6名の撰者による勅撰和歌集。承久の乱で敗北し隠岐に島流しになってからも後鳥羽院はこの加除を続けていたというのですから、この人も執念ですな。

 

◆ 平安遺文・鎌倉遺文
東大史料編纂所・竹内理三先生による当時の文書の集大成。所領安堵の下文とか、色々興味深いものが載ってます。

 

◆ 公 卿 補 任
各年の三位以上の公卿の名簿。それまでの経歴も記載されているので、各人の背景を読み解くのもおもしろいです。

 

◆ 国 司 補 任
無理とわかっていながらも、「源平争乱期以後も載ってると便利なのになあ」という感じの、それ以前の国司に関する名簿です。

 

◆ 衛門府補任
衛門府の督の名簿。意外とマイナーな人ばかりです。まあ要するに用心棒ですからね。

 

◆ 尊 卑 分 脈
室町時代に作成された系図集大成。系図を語る際には必須ですが、信憑性とトンデモを併せ持つ史料です。

 

◆ 系 図 纂 要
これも系図の集大成。尊卑文脈と相違する点もあり、見比べると面白いです。

 

◆ 保 暦 間 記
保元元年から暦応元年までの年代記。吾妻鏡・愚管抄などには載っていない事情の記述も多いですが、「頼朝の死因は義経や安徳帝の亡霊を見たから」などというトンデモの記述も多く、素直には信用できません。

 

◆ 百 錬 抄
安和元年から正元元年までの歴史書。信憑性は保暦間記と似たり寄ったり。

 

◆ 梅 松 論
物語なのか史料なのかは微妙なところ。足利尊氏の時代の先例として、源平争乱時代の佳例がしばしば記述されています。

 

◆ 神皇正統記
北畠親房が後醍醐天皇擁する南朝の正統性を説くために、神話の時代から書き起こした天皇年代記。篭城戦の最中に書いたものらしく、おのれの擁する天皇・思想に対する執念を感じます。

 

◆ 皇 代 記
各天皇の誕生・諱・即位などの詳細が記載されています。以下、天皇に関する史料です。

 

◆ 皇 帝 紀 抄
各天皇在位中の門院・公卿・事件などが網羅されています。

 

◆ 五代帝王物語
後堀川〜亀山天皇までの記録。

 

◆ 六代勝事記
高倉〜後堀川天皇までの記録。

 

 

top  軍記物  史料  歴史小説  ぶろぐ

池宮・上(吉川)  池宮・中(司馬)  池宮・下(司馬)  池宮(元木)  池宮(その他文献)  角川書店回答